「子供・生徒が植木算でおかしな答えを出してしまう」とお悩みの保護者、ご安心下さい!
東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が、算数が苦手な生徒さんにも分かりやすくて実践的な植木算の教え方のプロセスを図解します。
記事の終わりでプリントが自由にダウンロードできます。どうぞご利用下さい。
目次(クリックでジャンプ)
植木算を教える前に…
小学生にとって
植木算は単純ではありません
なぜなら…それまでの「文章題」と言われるものは、問題文の数字で直前に習った計算を作るだけでした。
例えば「足し算を習う→足し算の文章題」という感じです。
ところが!植木算では数値の「性質」を判断して、正しい計算(+-×÷全部出てきます)を選択しないといけません。
ですから、今まで「文章題」が出来ていたのに、植木算になると急に!オカシナ計算を始めてしまうという事は多いのです。
(+_+)
この記事では、「算数が苦手な」小学3年生にも理解できるような植木算の教え方を提案します♪(算数が得意な生徒さんには、教え方の工夫はさほど必要ありませんので…)
植木算の教え方の
2つのコツ
❶2ステップで教える
❷図を書かせる です。
コツその1:植木算は2STEPで教えよう
さて、下のような式が、いろいろな場所で「植木算の公式」として紹介されています。
目につくのは、足し算と引き算しか無いことですね。
でも考えてみて下さい!実生活で木を並べて植える場合(あまり無いでしょうがw)に最初に行う計算は何でしょうか?
一番多いのは「植える場所の長さ÷植える間隔」のような割り算でしょう。つまり「区切りの処理」です。
その後ではじめて、区切り(間)の数と木の数の関係を考えて足し算・引き算で木の本数を決定するのではないでしょうか?
「間の数」の計算が必要
このように、実際に木を植える場合は、足し算引き算だけではなく、掛け算割り算を使わないといけないのですね。
これは算数の問題でも同じで、先程の「植木算の公式」のような足し算・引き算だけで解ける問題はありません!
では実際に使う公式はというと、こうなっています↓
このように、「植木算」を解く際には「間の公式(かけ算・割り算)」と「木と間の公式(足し算・引き算)」という2つの公式グループをセットで使わないといけないのです。
これが植木算が難しい原因です。
「間の公式」→「木の公式」というステップで教える!
問題を解くのに必要な「間の公式」を使いこなせない・または忘れてしまった生徒が「木と間の公式」だけを教わっても、植木算の問題が解けないのは当然ですね。
したがって、植木算を教える場合はまず「間の公式」の使い方を、次に「木と間の公式」の使い方を、というように2ステップで教える計画を立てるとよいのです。
コツその2:図を書かせよう
もう一つのコツは、図を書かせることです。
そして大切なのは数値を書き込むことです。
が全て盛り込まれている
図を書くことで問題文の条件が整理され解答方針が立てやすくなります。興味がある人は参考記事「図を書くことの意味」を見て下さい。
実際の図は単色で書くので、こういう感じになります。
図を書いて考えれば、たとえ公式を忘れたとしても公式と同じ計算を自分で思いつくこともできます。
また、実用的な意味以外にも、図を書くことで算数の授業を「勉強」でなく「遊び」の時間にすることができます。
これは本当に大事なことで、遊びになれば子供は自ら楽しんで学習してくれます。
例えば、上の図では同じような木を描きましたが、生徒に「木の形は自由に書いていいよ」というだけで楽しむ生徒が倍増します。
ただの遊びの時間にならないように、「中に数字を書く」「5秒以内に書く」などいくつかルールを決めておくと良いでしょう。
実際に植木算を
小学生に教えてみる(1)
STEP1:間の公式をマスターさせる
管理人作成のプリントを題材にします
1-A:図で自由に解かせる
はじめは公式を教えずに自由に図を書かせて解かせます。(公式を教わる前の1回目は非常に貴重なのです。)
→関連記事「教わる前の一回目の大切さ」
もちろん暗算で答えを出せる子も多いでしょうが、ここでは図を書く事が大切なので、旗の形や中の文字のデザインは自由に書かせて「うまいね!」「いいね!」とほめましょう
上の図は、後で使うことも考えて中に数字を書けるデザインにしていますが、ここでは中に数字が書けなくても構いません。
さて、最初の例題を正しく図にすると、こうなります↓
図を書いたら答えも出ています。
注意してほしいのは「道の長さ」「間の数」「間隔」の三種類の数値が全て図に盛り込まれていることです。
中でも「間の数」は、この後のステップ「木と間の数」の公式でもつかいますので必ず書きます。そして、この図を生徒にも練習させます。
次に二番目の例題を図にすると、こうなります↓
ここでは、途中を省略した図の書き方を練習させます(省略は非常に大切です)
図は初めは丁寧に、段々省略する。
分からない数値を「?」で書かせて、分かっている数値のかけ算で求めることを確認します。
最後に、三番目も同様に図を書かせて?を求めさせます。今度はわり算です。
このように、例題を通じて公式の内容である数値操作を一通り練習させるわけです。
1-B:「間の公式」を示す
次に、先程の例題の数値に「道のり」「間の数」「間隔」という名前を与えて、公式を示します。
「さっきやった計算だよね」という感じで、公式に親しみをもってもらいましょう。
ここで大切なのは、単位を意識させる事です。「m」とあったら道のり、「mおき」とあったら間隔、というふうに単位を目印にして公式へのあてはめを行うからです。
先程書かせた図と対照しながら、この数値はこの式で出したよね、と確認してから、音読・暗唱させて暗記してもらいます。
1-C:公式にあてはめる練習をする
次に、数値を変えた問題を出して、図を「書かずに」公式だけで答を出す練習をします。
公式と問題文を対照させながら、単位に注目して使用する式を判断させます。
算数が苦手な子は図を書くのも苦手なことが多いので、公式に当てはめればテストでも答が出るというのは非常な安心感につながります。
「公式ベース」と「図ベース」
図を描きたい!という関心な生徒には「公式を使いながら」図を書かせましょう。
1-D:「思い出す仕組み」を作る
最後に公式を復習素材にします。
おすすめは大型の単語カードの表に問題(公式のはじめの部分)、裏に答え(公式全体)を書く形式です。
これでSTEP1は終了です。
STEP1.5:できれば定着期間を
次のステップに行く前に、ちょっとストップ!
誰でも、頭で理解しても使いこなせるようになるのに多少、時間が必要ですよね?
積みっぱなしのところに
さらに積み上げると、崩れますw
子供はなおさらですから、STEP1の後すぐにSTEP2に行かずに「定着期間」を設けた方が良いです。
算数が苦手な生徒の場合、一週間の定着期間を設けたいです。
ちなみに、「定着期間」というのは放置しておくというような消極的な期間ではありません。
「問題の解き直し」やカードを使った「公式の暗記」をしてもらい、公式がスラスラ言える、図がキチンと書ける状態にする、積極的な訓練の期間です。
前提知識を定着させてから教える
その状態で二回目の授業を行えば、スムーズに進みますので、子供が算数嫌い・公式嫌いになるおそれも少なくなります。
実際に植木算を
小学生に教えてみる(2)
STEP2:いわゆる「植木算」へ
2-A:間の数と木の数の関係
ここから、いわゆる「植木算の公式」を扱います。
最初は自由に図を書かせて解かせます。次に解答(お手本)を見せ、両端に植える」場合と「植えない」場合の違いを確認します。
このような簡単な図をかけるようにすれば、公式を忘れても思い出せますね♪
続いて、「今やった事をまとめるとこうなるね」と公式を紹介します。
2-B:一般的な植木算の問題(直線上)
問題を解く前に、「間の公式」と「木と間の数の公式」の関係図を書いて、「間の数」を媒介して2つの公式を行き来するのがポイントだと教えます。
いよいよ植木算の実戦問題です。例題はこちら
生徒に問題を読ませたら、図を書いて数値を書き込ませます。
そして、答えを出すために間の公式と植木の公式を「行き来」する感覚を身に着けさせます。
例えば(1)の場合、「道のり」を出すためには「間の数」が必要ですが、問題には「木(旗)の数」しか書いてありません。
そこで「旗の数(9本)」から「間の数(9-1=8個)」を出し、それと「間隔(4m)」を合わせて「道のり(8×4=32m)」を求めます。
「今の作業を公式で表すとこうなるよね。」と確認します。
このように公式の体系を自由自在に行き来してピースを集め、最後に答えを完成する感覚を味あわせます。
(2)は「間の公式」だけでOKです。
(3)は「木の数」を出すために「間の数」が必要。そのために「道のり」と「間隔」が必要だ、と公式を見せながら誘導します。
今の作業を公式で表すとこうなります。
この感覚を「面白い!」と思わせられれば成功です。
ここでは公式ベースでの解き方も説明しています。
これは、算数が極端に苦手な生徒は定型的な解法でないと解けない恐れがあるからです。
図を書いているうちに答えがパッと出てしまうなら、クドクド説明する必要はありません。
(^_^;)
ただ、図を書かずに答える事は禁止するのが生徒のためです。
図ベースの解き方は、こちらにあります。
3-c円周上に植える場合
次は円周上に植える場合です。同じように、進めます。
まず図を書かせて「木と間の数の関係」を理解させましょう。円周上の場合は「木の数=間の数」なので簡単でしょう。
間の数と木の数の関係が理解できたら、問題を解かせてみましょう。
解答を示しながら、公式の体系を「またぐ」感覚を養います。(2)の場合このような経路をたどってピースを集めるゲームだと思わせましょう
これで植木算の基本問題は終了です。
3-d思い出す仕組みを作る
最後に、暗記素材を作って、後の復習の準備をしておきます。スラスラ解けた子にも必ず作らせましょう。
なぜなら、たとえ今日できても一ヶ月後にはすっかり忘れている可能性があるからです。
思い出す仕組みの無い学習は無意味
時間がたった後(テストの前など)に自分で思い出せる仕組みを作っておかないと、今回の勉強時間が無駄になってしまいますよ!
プリントダウンロード
この記事で使った問題がダウンロードできます。画像をクリックするとプリントが表示されますので保存して下さい。
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これらのプリントは古い(2018夏)バージョンなので、新しいバージョン(2019)が欲しい方は、こちらを御覧下さい。
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